規格についての基礎知識
ASTM規格とは、日本で言うところのJIS規格と同様の工業規格の一種で、アメリカにある世界最大規模の標準化団体である「ASTM International(米国試験材料協会)」が策定しています。任意規格でありながら、世界75ヶ国で法規制などの基準とされるなど、国際的に広く通用しています。
ASTMが誕生したきっかけは、19世紀末のアメリカの鉄道産業にありました。当時の鉄道は蒸気機関車がメインでしたが、機関車そのものやレールに頻繁に故障が発生しており、このようなトラブルを防ぐために、工業製品の品質の均一化を目指して生まれたのがASTMでした。
工業製品に用いられる部品の強度やサイズの基準(ASTM規格)を設け、ASTM規格に従ってものを作ることで製品の品質が安定して故障が減りました。さらに、大量生産を可能にしたため生産コストが大幅に削減されました。
ISO規格とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)が制定する国際規格です。アメリカでASTMが生まれたのと同様に、世界各国でも似たような考えがあり、先進国では各国で違う規格が適用されていました。しかし、各国が異なる規格を持っていたのでは、世界規模で商品が流通する現代では様々な不都合が生まれてきます。そこで、世界共通の工業規格として創設されたのがISOです。
ISOは、各国の代表的な標準化機関によって組織される非政府間国際機関で、電気・電子分野および電気通信分野を除くすべての産業分野について、国際的な標準化を行っています。平成21年10月現在、ISOには162ヶ国が参加しており、日本からはJISを制定する日本工業標準調査会(JISC)が代表として参加しています。
以前までは、物性測定・評価・試験の分野でもASTMが主流でしたが、現在は、ISOに移行しつつあります。
UL規格とは、アメリカで生まれた、主に電化製品の安全性を認証する規格です。UL規格を定めているのはアメリカ最古の安全検証機関である「アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)」という民間機関です。
ULは政府系の機関ではありませんが、UL規格の権威は高く、アメリカに電化製品や電気部品を含む製品を輸出する場合、UL規格をクリアした製品しか輸出できないという法律もあるほどで、ある意味、米政府公認の安全検証機関だと言えます。
JIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)は、工業標準化法(1949年)に基づいて制定された我が国の国家規格。2012年3月末現在で、10,289件が制定されています。
製品の種類ごとに、寸法・形状・品質・耐久性・使用方法・安全性などの様々な技術的条件について、単純化・統一化をするための基準を設け、それを促進することで製品の品質を向上させ、生産体制の合理化を促すことが目的です。