なぜ物性測定・評価・試験が必要なのか?
高機能なプラスチックの登場によって、プラスチックは木材や金属・ガラスなどに代わって幅広い用途で使用されるようになりました。一方で、プラスチックは他の材料とは異なる性質を持っているものの、その性質が十分に理解されているとは言えない現状があります。
プラスチックの成形加工を行い、様々なプラスチックを適材適所に使用していくためには、材料の持つ性質、つまり「物性」について十分に把握しておかなければなりません。そのために行っていただきたいのが、プラスチックの物性測定・評価・試験です。物性測定を行えば、プラスチックが持つ性質を数値化でき、プラスチック製品を作るうえで重要な指標を把握できます。さらに、製品開発にあたって他社製品との比較を行う際にも有効です。
プラスチックは、その製造工程や使用中に思わぬトラブルが発生することがあります。例えば、荷重や衝撃を加えた場合の破壊・破損や、熱などの温度変化による溶解といった事象です。このようなトラブルが生じた場合に、その影響を最小限に抑え、速やかに対処できるか否かは取引先や消費者の信頼維持のために非常に重要なことです。
ただし、一般的には取引先や消費者がどのような環境下で使用していたのかは確認しきれず、現象を再現することが難しい場合も多く、トラブルの原因を解明するのが困難なケースも多々あります。そんなとき、重要な役割を果たすのが物性測定・評価・試験です。
例えば、「割れ」が起こったケースでは、割れた部分と割れていない部分、他ロット品との比較によって使用材料が設計者の意図どおりの性能を維持していたか否かを判断できます。このような分析を通して、許容以上の荷重が加えられて破壊したのか、製造工程に問題があったのか、使用中に生じた構造変化に起因して耐荷重性能が低下してしまったのかなど、割れの原因を突きとめることができるのです。
物性測定・評価・試験の結果を定量データとして取得しておくことは、トラブルの原因究明とともに再発防止につながります。